高齢者の学び直し --- 自由研究のすすめ

最近は老年学(gerontology)の応用分野として金融ジェロントロジー(financial gerontology)の研究が進んでいるようで、いつの間にか気がついてみたら自分が研究標本にされる年となってしまった。この学問の研究対象である高齢者のことを何か気の利いた専門用語でどのように呼ぶのかと思いちょっと調べてみたがgerontという単語は見つけたがとくに専門用語ともいえないようだ。高齢者といえば当局のご指導をうけて証券業界では高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドラインというものを作成している。それによると75歳と80歳は分岐点になるようだ。75歳以上になると高齢者と定義され一定の金融商品の取引に際しては事前に役席者の事前承認を要し役席者が電話等で高齢顧客との面談をして取引の適正性を判断するようだ。80歳以上になると原則として翌日以降の受注とされ受注時の会話内容等を録音して別の役席者が受注するといったことが書かれている。しかしオプションや指数先物などの取引は時間との勝負なので翌日の受注にされてしまうと非常に不利な価格で約定させられる危険がある。80歳の高齢者が気が変わって取り消しの注文を出したとすれば、それも翌日に回され取り消しの注文を受けるかどうか判断することになるのだろうか。こんなことを繰り返していると何も決められない無限ループに陥ってしまうだろう。どうもおかしいと思って調べてみたらインターネット取引はガイドラインの適用外とされているようだ。役席者の審査も構わないが、よもや小学生が担任の先生や校長先生の判断力やリテラシーを審査するといった珍事を引き起こすことのないようによくよく気をつけて運用してもらいたいものだ。何かと高齢者のことを心配してくれるのは良いことだが昭和の時代のように通信手段が電話やFAXが主流であった時代と異なりDXの時代ではデジタル社会にあったガイドラインを作るべきだと思う。80歳すぎた先輩でvisual basic を使って高速フーリエ変換のプログラムを作成する人もいるし、昔の職場仲間でopen officeのマクロの達人もいるような時代なので、高齢者=デジタル音痴 といったような決め打ちはしないように願いたいものだ。多様性を尊重する時代なので高齢者も多様でありステレオタイプな分類による規制などは避けなければならない。

いろいろと愚痴を言ってもしかたがないが、この高齢者が 何か一念発起して勉強をしようと思うと学校に通ったり通信講座を受けることが思いつくが何れにしてもお金がかかってしまう。金もかけず煩わしい人間関係とも無縁で学び直すよい方法はないものだろうか。幸いなことに最近のネット環境は非常に優れていて、検索エンジンを使って知りたい言葉を打ち込めば結構いい資料や教材を読むことが出来る。さらには無料で利用できるいろいろな優れたソフトも提供されている。遙か昔の学生時代にFORTRANというコンピュータ言語の実習を受けたが、当時は大学の生協でコーディングシートとパンチカードを買って、簡単なプログラムを書いて、それを自分でカードにパンチしてから、カードをやや太いゴムバンドで括って電算室に提出した。1週間後くらいにアウトプットリストが返ってきたが、何も計算結果が印字されていないのでやっぱりプログラムミスをしたかと思ってチェックしてみるとカードのパンチミスだった。このような失敗を数回繰り返してやっと計算結果を得ることが出来た。今では無料の統計ソフトRをパソコンにインストールしておけば茶の間でテレビを見ながら当時よりも遙かに複雑な計算が出来るうえにグラフィック表示も格段に優れている。さらによいことにはMAXIMAという無料の数学ソフトを使うと数式処理や微積分など記号処理も数値計算もやってくれるので私のように数学の不得手の人間にとっては大変に助かる。無料でMITの数学の先生に住み込みの家庭教師として御世話になっている気分である。このように検索ツール、統計ソフトR、数学ソフトMAXIMAがそそろう環境になったので、もう一度、学生時代に戻ったつもりで、今ままで生半可な理解しか出来ていなかったことを再学習してみようと思い立った。小学校の子供達が行っている自由研究を見倣いながら自由研究発表をしようと思う。実際の教育現場での自由研究がどのようなものかは全く知らないが自由研究という言葉には大きな可能性とか夢が感じられて大変に気に入っている。何か簡単な課題でも、その分析過程で使ったプログラム言語のソースコードと分析に使った数値データが明示(公開)されていれば他者が容易にその分析過程を再現することができ、そのロジックや計算結果の解釈の妥当性について検証ないし議論を深めていくことも容易に出来るだろう。特に公的機関が「うちのマクロモデルのシミュレーションでは斯く斯く然々です。」と言う場合には別途にモデルの詳細を開示し、ソースプログラムやデータもダウンロードして誰でも分析過程を再現できることが望ましいだろう。高性能のパソコンが普及している現在では何か会議で議論する場合には単に言葉尻を捕らえ合ったり、暗に自らの自慢話を披露するような場にするのでなく、互いに箱庭のような具体的なモデルを開示しあいモデルの再現性を確認した上で、より深く生産性の高い議論をすることが必要だと思う。たとえ趣味で簡単なプログラムを作る場合でも、ある意味で自らの無学浅学振りを公に露呈さす辛さはあるが、誰もが自ら作ったモデルやプログラム等を公開し合えば、スポーツと同じく互いの弱点を見付けて切磋琢磨でき皆でレベルアップできると思う。さらにはプログラム言語の学習は高齢者にとっても認知症予防などに何らかの役に立つかもしれない。ご参考までにRが不案内という場合には R  統計ソフト R project などの単語を同時に打ち込めば関係のサイトが表示される。MAXIMAも MAXIMA lisp 数学 などの単語を同時に打ち込めば関連のサイトが表示される。読者の好みにあうサイトから情報を仕入れるとよい。各ソフトの入手法とかインストールの方法などは例えば R 統計 初歩 大学  とか maxima  初歩 大学 などと打ち込んで検索すれば丁寧に説明してあるサイトが多数見つかる。  高齢者になると視力も衰え、指先も不器用になるので、サイトを見ながら不用意にクリックしたりすると、予想外のサイトに飛ばされたり、なかには○○○については、ここの論文が詳しいなどとリンクが貼ってあり、うっかりクリックするといかがわしいサイトに飛ばされたりすることがある。そこでウイルスソフトの保護者監視機能を常時オンに設定しておくと、うっかりクリックしても瞬時に遮断してくれるので大変に便利である。ビール会社が切れ味抜群、新製品発売などとTVコマーシャルを流していたので新製品の成分表を確かめようと検索したら、未成年者はお酒のサイトは見れませんと直に遮断されることがあるが、その場合は保護者の立場に戻りこのページは見れるように許可を与えればよい。ブラウザーのオプションでセキュリティレベルを高く上げるのもよいが、うっかり高くするとほとんどのページがまともに読めなくなるので、利便性とセキュリティ対策の妥協策としてウイルスソフトの保護者監視機能は重宝している。

 

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